イントロダクション
人手不足を解消するためには、新規就農者が参入しやすい環境整備が不可欠。機械の導入により生産現場はどのように変わったのか。
新たな担い手を確保するため、高収益作物の推奨と農作業の省力化・効率化に取り組む九戸村。トマト、りんどう、小菊を栽培する若手農家への機械導入を通じ、これからの農業に必要な環境づくりが見えてきた。
農産物概要
高収益作物への転換を勧めながら、独自の育成機関で新たな担い手を育てる
岩手県北部に位置する九戸村は、面積の約7割を山林が占め、冷涼な気候が特徴だ。こうした地域の特性を生かしながら、米、畜産、葉たばこ、野菜、花き、果樹を主要作物として農業振興を図ってきた。しかし、昭和55年に発生した大冷害を機に、寒さに強い品種の導入やハウス栽培への転換を推奨。より高収益が望める野菜や花きなどへの再編を進めている。現在、村が勧める重点品目は、岩手が日本一の生産量を誇るりんどう、野菜ではトマト、ピーマン、ネギ、ニンジンの4品目。他にも甘茶や山わさびなど、特色ある農産物の生産拡大にも取り組んでいる。その一方で、担い手育成を目的とした農業法人「ナインズファーム」も設立。栽培・経営指導を中心に、新規就農者の育成・支援にも力を注いでいる。
プロジェクトの取り組み
作業負担を軽減する機械の導入で、若手農家の意欲的な取り組みを後押しする
九戸村では、中規模農家や大規模農家がさらなる収益アップを目指し、栽培面積の拡大と作物の多角化などに取り組んでいるが、ネックとなっているのが深刻な人手不足だ。高齢化に伴う生産者の減少が進んでおり、新規就農者を増やしていくためにも、参入しやすく働きやすい環境整備が欠かせない。いわて農業未来プロジェクトでは、有機栽培のトマト農家には肥料散布を効率的に行える「ブレンドソーワ」を、りんどうや小菊を栽培する花き農家にはネットの支柱を土中に打ち込む「自動杭打機」と「自動定植機」の導入を支援。農作業の省力化・効率化によって、他の作業に時間を割けるようになり、品質の向上にもつながっているという。九戸村は、高収益が望める作物に加え、作業の機械化を進めることで、新たな担い手の確保と持続可能な農業の実現を目指していく。